朴澤耳鼻咽喉科

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2025年10月10日

水を飲むとむせるのはなぜ?

 

 

 

今年の夏は本当に暑かったですね。

水分補給をしっかりされた方も多いと思いますが、

水を飲んだ瞬間、思わずむせてしまった経験はありませんか?

 

 

実は「水を飲んでむせる」というのは、誤嚥(ごえん)の始まりかもしれません。

誤嚥をそのままにしておくと、肺炎につながることもあり、

特にご高齢の方にとっては注意が必要です。

 

今日は、麻痺もなくお元気に生活されていて、

「食事は普通にできるのに、水だけむせやすい」という方に向けて、

原因と対処法をわかりやすくお伝えします。

 

 

私たちは普段、無意識に食べたり飲んだりしていますが、

その裏側ではとても複雑な動きが起きています。

 

飲み物が喉を通るとき、

のどちんこが鼻への逆流を防ぎ、

喉仏が上に持ち上がって気管の入り口を閉じ、

同時に食道の入り口が開きます。

ほんの一瞬の間に、いくつもの動作が連携しているのです。

 

このどれかの動きがうまくいかないと、水が気管に入り込み、「むせ」につながります。

 

 

水を飲んでむせてしまう場合、主な原因は次の4つです。

  1. 1. タイミングのずれ
    喉の動きの連携がずれて、むせてしまう。

 

  1. 2.  喉が狭くなっている
    加齢で首の骨(頸椎)が変形し、のどから食道の入り口を後方から圧迫することがある。

 

  1. 3.  喉仏が下がっている
    筋力低下で喉仏が上がりにくくなり、気管の入り口がしっかり閉じない。

 

  1. 4.  食道の入り口が開かない
    逆流性食道炎などで食道の入り口を閉める筋肉が固く閉まり、水や薬がスムーズに入らない。

 

それぞれの原因には、日常生活でできる対処法があります。

 

  • 1.  タイミングのずれには「うなずき嚥下」

 

  • 口に水を含み、軽くうなずきながら「ごっくん」と飲むと、
  • タイミングがとりやすく、食道の入り口が開きやすくなります。
  • ゴクゴクと続けて飲むのは避けましょう。

 

  • 2.  喉が狭いときは「右向き嚥下・左向き嚥下」

 

  • 右あるいは左を向いて飲むことで、飲み込みやすい向きを探してください。
  • のどの狭い方を避けて水が食道に流れやすくなります。

 

  • 3.  喉仏が下がっているときは「シャキア体操」

 

  • 仰向けに寝て、ご自分の足の指先を見ながら首を少し持ち上げ、
  • 10秒キープする運動を繰り返します。
  • 顎の下の筋肉を鍛えることで、喉仏の嚥下時の上への動きが改善し、誤嚥の予防になります。

 

 

  • 4.  食道の入り口が開かない場合は「逆流性食道炎の治療」

 

  • 逆流性食道炎が改善すると、食道の入り口を閉める筋肉が緩んで、むせが減ります。
  • 逆流性食道炎は、薬や生活習慣の改善で改善が期待できます。

 

 

むせは体からの大切なサイン

 

「水を飲むとむせる」ことは、誰にでもあります。

しかし、それが頻回に起こるようなら注意が必要です。

些細なことのようでも、実は体からの重要なサインなのです。

日本では誤嚥性肺炎で亡くなる方が少なくありません。

小さなサインを見逃さず、早めに対応することが健康を守る第一歩です。

 

 

「最近、水でむせることが多いな」と感じたら、

まずは今日ご紹介した工夫を試してみてください。

それでも改善しない場合は、ぜひご相談ください。

 

 

水を安心して飲めることは、毎日の生活の基本です。

皆さんが健康で快適な日々を送れるよう、私たちがサポートいたします。

 

院長

 

 

 

 

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