今年のスギ花粉症を振り返って、そしてスギ花粉症の撲滅にむけて

仙台では、今、桜が満開です。
猛威をふるったスギ花粉の飛散もあともう少しでおしまいです。
今年のスギ花粉症を振り返ってみましょう。
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■今年のスギ花粉の飛散は、やはり予想されていたように大量でした。
2月中旬に今年初めてのスギ花粉の飛散が確認されましたが、
2月下旬から3月初めは寒さが戻り飛散が少なくなりました。 
今年は、花粉の飛散量が多いと報道されていた割には楽かと思われた方もいらっしゃったと思います。

ところがその後、徐々に暖かくなり、
3月下旬から4月上旬に一気に花粉が大量に飛散したため、
例年以上に症状が強く出ました。
昨年まで、スギ花粉症の症状が全く無いか軽症ですんでいた方も、
今年は大分、アレルギー症状に悩まされたようです。
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■地震の影響
地震があると症状が強くなるという患者様もいらっしゃいました。
昨年までは風が強い日は花粉が飛び症状が強くなるので、花粉警報が出されました。
あれだけの強い揺れがあると、確かにスギの木も揺さぶられ、花粉も多く飛ぶのかもしれません。

地震の影響は、むしろライフラインが途切れたことの方が多かったように思います。
電気、ガス、水道が止まり、お風呂に入れない、髪を洗えないという状況が続きました。
このため、外出時に、衣服や髪についた花粉が室内に持ち込まれ、そのまま枕や寝具に付着してしまいました。

例年は、外出時に症状が強く出るものですが、
今年は就寝中に鼻が詰まって眠れない、 くしゃみが出る、 朝目が覚めると目が赤い、目に膜がかかったようだ
といった症状に悩まされた方も多かったのではないでしょうか。
地震とスギ花粉の飛散時期が重なったための特別な症状でした。
こういった症状の方は、 今からでも是非寝具を洗濯されることをお薦めします。

スギ花粉の飛散量が多かったので、症状も重症で、
鼻の粘膜が荒れてしまい、鼻血が出た方も多かったようです。
折から、福島原発の放射能汚染の問題もあり、
放射線の影響で鼻血かと心配された患者さんもいらっしゃいましたが、
伝えられる大気の放射線量では、少なくとも仙台では放射線障害による鼻血の可能性はないでしょう。
鼻の粘膜は、表面近くまで血管が立ち上がっているので、わずかな粘膜の傷でも出血します。
花粉症のアレルギー反応は粘膜表層でおこるので、鼻血の原因となります。
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■体質改善は今年も有効
このような中で、2月下旬~3月中旬より、当院でアレルギー体質の改善を始められた方の大部分は、
不思議そうに今年は楽だとおっしゃっていただきました。
我慢に我慢を重ね、4月に入って症状が悪化して、ようやく来院された患者様が
今年はひどいとおっしゃるのと、対照的でした。

大量飛散の年も、体質改善は有効でした。
体質改善3~4年目の方も順調で、体質改善を3年以上していただくと、
大量にスギ花粉が飛んでも、症状はあまり出ないようです。

過去の治療経験どおり、体質改善初年度は約70%の方が症状が軽くなりますが、
抗アレルギー剤により、症状を抑えた方が楽でした。
4月に入り症状がひどくなってから、体質改善を始めた方は、あまり効果を実感できなかった方が多数を占めました。
体質改善を始めて3年目になると90%の方は、抗アレルギー剤も不要になってきます。

以前のブログにも書きましたが、抗アレルギー剤の治療では、スギ花粉症の完治は得られません。
症状を抑えているだけなので、毎年春になると症状が出ますし、
花粉の飛散が多ければ症状が抑えきれません。
眠気、口渇と言った副作用も問題です。
詳しくは、以前このホームページに掲載しましたスギ花粉症の体質改善のブログをご覧ください。

やはり根本的な治療は、アレルギー体質の改善だと思います。
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■根治治療がなぜよいか
当院を開院する前、勤務していた仙台社会保険病院で、とても貴重な経験をさせていただきました。

仙台社会保険病院は、建物は古く外見はあまりきれいではありませんが、
医師を始めスタッフはとても優秀な人材がそろっています。
外科の腎移植の件数、泌尿器科の腎がん摘出術件数は日本のトップレベルですし、
腎センターの先生により、一般化されたIgA腎症の治療は、日本のスタンダードになりました。

IgA腎症は、腎臓の機能が廃絶してしまい血液透析が必要となる患者様の、
現在は糖尿病性腎症に1位を譲りましたが、
しばらくは最も多い原因疾患でした。
なかなか治療が難しい病気で、経過を見ながら、対照的な治療を行うのが一般的でした。

仙台社会保険病院の先生方により、
この難病に対し扁桃腺の摘出術とステロイドのパルス療法を行うと、
早期に発見されたIgA腎症の患者様のほとんどが、完治し、
その後、全く治療がいらなくなることが明らかになりました。

9年間の仙台社会保険病院在職中に、2000件以上の口蓋扁桃摘出術を施行しましたが、
今、宮城県は日本で最も人口あたりの血液透析導入が少ない県となりました。
対症療法に比べ根治治療は、患者様に大きな福音であると共に、
私たち治療者にとっても、大きな喜びを与えてくれます。
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■スギ花粉症は日本の国民病

さて、日本では現在4人に一人がスギ花粉症に罹患しています。
図のように、宮城県は、全国でも罹患率が多く、第9位にランクされています。
(「1998年のアレルギー性鼻炎の全国疫学調査」より;アレルギー科,Vol.15,No.2,2003 科学評論社)

現在当院で行っている、体質改善の治療が広がれば、この罹病率を引き下げることが可能です。

来年は是非、スギ花粉症の方は、スギ花粉のアレルギー体質改善に挑戦してください。
治療は2月上旬から4月まで、体質改善薬を1日1回内服するだけで、費用は5000円です。
1年目は、体質改善の効果が出るまで抗アレルギー剤も併用された方が、シーズンを楽に乗り切れますが、
2年、3年と続けていくと90%の方が抗アレルギー剤を服用しなくても大丈夫になります。

仙台社会保険病院では、IgA腎症患者様の治療に参加し、宮城県の透析導入率の低下に貢献しましたが、
朴澤耳鼻咽喉科では、宮城県のスギ花粉症罹病率を、北海道並みに引き下げるように頑張りたいと思います。
どうぞ、よろしくお願いします。                      院長

hozawa (2011年4月21日 09:36)