冬のアレルギー性鼻炎

最近、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状を訴えて、
来院される患者様がいらっしゃいます。

寒いので、風邪を引いたのかもしれないけれど、熱も無いし、他の症状はないんです。
でも、なかなか治らないとおっしゃいます。

鼻水の中の細胞を顕微鏡で検査するとその場で、鼻風邪なのか、アレルギーなのかすぐにわかります


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アレルゲン、アレルギーを起こす原因物質
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アレルギー性鼻炎は、アレルギーを起こす原因を吸い込むことで発症します。
春ならばスギの花粉が飛びますし、
5月はヒノキの花粉
7月はカモガヤの花粉
9月はブタクサの花粉というように
症状の出る季節が決まっていれば、アレルギーの原因がおおよそ推測できます。

ハウスダスト、ダニのアレルギーの方は、症状が一年中でますが、
湿気のある梅雨時はダニが繁殖し、症状が強く出るなど、やはり症状に波がでることがあります。
血液検査をすると、ご自分が何に反応してアレルギーを起こしているのかわかります。
原因がわかれば、それを避けるようにするなど生活の注意をすることにより、
アレルギーの症状を緩和することが出来ます。

さて、それでは、この寒い冬にアレルギー症状を起こしている原因は何でしょうか?
花粉も飛んでいません。
寒いので、ダニが繁殖することもありません。


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ファンヒータから吹き出るアレルゲン
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冬のアレルギー症状をおこす原因は大きく分けて2つあります。
1つは、暖房器具です。

特にファンヒーターや空調など、温風が吹き出るタイプの暖房器具をお使いの方は 要注意です。
使用していない間に、暖房器具の中にたまった埃や、カビ、ダニが、
寒くなって使い始めた暖房器具から、温風とともに吹き出てきます。

これを吸い込んで、アレルギーを発症するのです。
暖房器具を使用する前に、掃除をして頂くのがいいのですが、
なかなか内部までの掃除は難しいかもしれません。
温風ヒーターを使用している自宅で症状が出たり、
職場で、空調より温風が吹き出るところにちょうど机があり、
職場だけで症状が出る方もいます。
鼻が詰まって、夜、口を開けて寝てしまうと、のどが乾燥して痛くなり、
ますます風邪と区別しにくくなってしまいます。
お部屋の加湿にも努めて下さい。
夜、マスクをしてお休みになるのもいい方法です。


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ハウスダスト、ダニアレルギー体質の改善
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鼻水の中に、好酸球があれば、鼻風邪ではなく、
アレルギー性鼻炎であることがわかります。

アレルギーの原因を調べる血液検査をして頂き、
原因がハウスダスト、ダニであることが確定すれば、
体質改善をお勧めします。
1年間のうち2ヶ月間毎日体質改善の薬を内服する方法です。
1年目は、抗アレルギー剤を併用することをお勧めしますが、
初年度で約70%の方に効果が現れ、3年継続すると90%の方が
抗アレルギー剤を内服しなくても、アレルギー症状が出なくなります。

内服して、すぐ効果が現れ、鼻炎だけではなく、喘息もよくなった方もいらっしゃいます。
スギ花粉症や、ブタクサの花粉症も体質改善が出来ます。
一度、当院でご相談されてはいかがでしょうか?


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温度変化で誘発される血管運動性鼻炎
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もう一つの原因は、温度変化です。
アレルギー性鼻炎に似た、くしゃみ、鼻水、鼻づまりがありますが、
鼻水の中にアレルギーで見られる好酸球をふくめて、ほとんど細胞が見られません。
血液検査でも、アレルギーを起こすIgEというタンパク質が正常範囲です。
症状はアレルギーですが、検査結果はアレルギーではないことを示しています。

冷たい空気を吸い込んだり、急に暖かい部屋に入った時にくしゃみや鼻水が出ます。
屋内より、屋外に出たときの方が症状が出やすいようです。
お風呂上がりや、寝床から起きがけなど体が冷える時にも症状が出る方がいます。
食事の時に、鼻水がたらりと流れてしまう方や、まぶしい光を見ると症状が出る方もいます。
冬ばかりでなく、夏でもクーラーの効いた冷たい部屋に入ると症状が出ることがあります。

このような方は症状は似ていますがアレルギー性鼻炎ではなく、血管運動性鼻炎といいます。
鼻の粘膜の神経が過敏になっているので、温度変化や光、埃などの物理的刺激でアレルギーとよく似た症状が出ます。
アレルギーではないので、抗アレルギー剤は効果がありません。
体を温めて、鼻粘膜の過敏性を抑える漢方が、効果があります

さて、冬にもアレルギー症状を引き起こす原因があることがご理解頂けましたでしょうか?
上述の症状が、当てはまるときは、耳鼻咽喉科で精査を受けられるとよいでしょう。

院長

hozawa (2012年1月13日 16:12)