朝目が覚めたら、口がからからになる方へ、その2

前回のブログで、私たちの鼻はとても優秀な加湿器 兼 加温器 兼 空気清浄機であることをお話ししました。
こんな優秀な鼻を使わずに、口から呼吸すると、様々な不具合が出るのは当然です。
特に、冬の寒く乾燥した外気は、のどを乾燥させ、風邪の原因にもなります。


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いびき
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のどが乾燥する以外にも、口を開けて寝ると、困ることがあります。
いびきです。

寝ているときに口を開けてしまうと、舌の筋肉が弛緩して落ち込み、のどが狭くなって息が苦しくなるのです。
お酒を飲んだ夜は、どなたでも経験していることかと思います。
特に仰向けに寝ている時にいびきが強くなります。

周りの人から、"いびきがうるさくて眠れない" と文句を言われるようになってしまいます。
以前は、ご主人から "いびきがうるさい" といわれて、受診される奥様が多かったのですが、
最近は、時代の流れでしょうか、奥様にいびきを注意されて病院を受診する男性が増えてきました。

いびきは、周りの人には大変迷惑ですが、ご本人の健康には影響がありません。
ところが、いびきがひどくなり、息が止まってしまうと、
ご本人の健康に重大な影響が出てきます。
睡眠時無呼吸症候群という病気です。
この話を始めると長くなってしまいますから、またの機会にしましょう。
いずれにせよ、自分がどれくらいいびきをかいているのか?
息がとまっているのか?
ご心配の時は、検査をご自宅で簡単にできますので、お気軽にご相談下さい。
検査で、異常があれば、どの部分に問題があるかを調べることが出来るのが耳鼻咽喉科です。
鼻から喉頭まで、空気が肺に運ばれるまでの道筋のどこに狭い部分があるかがわかれば、治療法が決まります。


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朝の口の渇きの対処法
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さて、口の渇きの対処法について、お話しします。

前回、お話ししましたように、何も病気が無くても、横になると鼻がつまりやすくなりますが、
口を開けて呼吸する方は、やはり何らかの鼻の病気を持っていらっしゃる場合が多いです。

アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、鼻中隔弯曲症、肥厚性鼻炎、薬剤性鼻炎、血管運動性鼻炎などです。

アレルギー性鼻炎は、くしゃみ、鼻水など周りから見ても
"アレルギーがひどそうだなあ" 
とはっきりわかる症状の方がほとんどです。
ところが、鼻がつまり、鼻水がのどに落ちるのが主で、くしゃみや鼻水が流れ出ることはあまりなく、
かえって鼻が乾いてしまうとおっしゃる方もいらっしゃいます。
このような症状でお悩みの方は、自分はアレルギーでは無いと思っていることが多いんです。
鼻汁の中に好酸球という細胞が見つかるとアレルギーの診断がつきます。
通常のアレルギーの薬とは、違うタイプの薬が、この鼻づまりには有効です。

慢性副鼻腔炎は、蓄膿症といった方がわかりやすいかもしれません。
鼻に慢性に細菌が感染し、
副鼻腔という、鼻に連続しているほっぺたや、眉、眼の奥の空洞に膿がたまる病気です。
日本人の食生活が、炭水化物主体から、タンパク質も多く取るようになり、
青い鼻を垂らした子供さんはほとんど見なくなりました。

細菌性の副鼻腔炎が減り、アレルギー性副鼻腔炎がその代わり増えています。
副鼻腔の中の粘膜が腫れて、鼻腔に飛び出してくるとポリープとなります。
鼻閉も強く、嗅覚障害も出現するので、最終的には手術が必要になります。
ポリープがなければ、内服の治療で、改善が期待できます。

このほか鼻中隔彎曲症や、肥厚性鼻炎も鼻がつまる原因になります。

薬屋さんで鼻づまりを改善する点鼻薬を売っています。
一回点鼻するとすぐに鼻が通るようになります。
気持ちが良いので、1日に何回も点鼻してしまう方がいます。
ところが、あまり頻回に使いすぎると、薬が効かなくなるだけでなく、
かえって鼻づまりがひどくなってしまうことがあります。
薬剤性鼻炎という、困った病気です。
最終的に、手術をしなければならなくなることもありますので、漫然と自己治療を続けないようにご注意下さい。

以上のような鼻の病気は、耳鼻咽喉科で診察を受けると、診断がついて、
治療により、鼻が通り快眠できるようになります。

それでも口が渇く方には、夜、マスクをつけてお休みになることをお勧めしています。
口を開けても湿度が逃げないので、鼻の治療と併せて効果が出ます。

どうぞ一度お試し下さい。

このほか、鼻翼を広げるテープや、口を開かないようにするテープなど
様々なものが市販されていますが、その方の鼻の構造により、あうものもあれば、
かえって呼吸を悪化させてしまうこともありますので、医師にご相談の上お使いになる方が安全です。


院長

hozawa (2012年2月10日 09:00)