キャッツの仙台公演が始まります。
前回は2003年12月~2004年5月までのロングランとなり、大ヒットでした。
前回の公演が始まる一ヶ月前に慶応大学医学部の福田教授から電話を頂きました。
『今度劇団四季が仙台で長期公演するから、何かあったら、よろしく』との事です。
東京では、先生が、劇団四季の劇団員の声のケアをされていました。
仙台公演中、風邪を引いたり、声のトラブルがあったら、ケアをよろしくということでした。
これまでも、日本各地を公演旅行するうちに、
アーティストが仙台で体調を崩された時などに、SOSコールが入り、
宿泊先のホテルに往診に行くことがありました。
特に海外のアーティストの場合、長旅の上、なれない食事で、
体調を崩される事もあります。
声帯はとてもデリケートで、風邪を引いてももちろん声がかすれますが、
体調不良による影響も大変大きいのです。
深夜にホテルで、診察し、点滴や、注射、吸入、内服薬で体調が改善するよう努めます。
何しろ翌日の夜には、公演が予定されていることがほとんどで、時間がありません。
公演がキャンセルになると大変な損害ですし、
歌手の方もせっかくファンの皆さんが楽しみしている公演をドタキャンするのは、とても残念に思われ、
自分の体調が優れないことに焦りを感じているのがわかります。
治療がうまくいき、公演が無事に終わると、ほっとします。
歌手の方も、点滴を受けるのは初めてだなど、異国の地の治療に不安もありますが、
いつも通りに歌えると大変感謝して頂けます。
いつもより声が出たと、お褒めの言葉を頂戴することもあります。
医者冥利に尽きる瞬間です。
一晩の公演のケアをする機会はありましたが、半年にもわたる長期公演のケアをするのは初めてでした。
しかも12月の仙台は、冬の冷たい乾燥した風が吹き荒れます。
普通の人でものどが乾燥し、風邪を引きやすく、声がかすれやすい時期です。
こんな季節になぜ公演を始めるのかと、ちょっと恨み節もつぶやきました。
公演が始まる前のパーティーでは、劇団四季の歴史を振り返ると、
東京以外で公演したのは仙台が初めてであったことなど、
仙台と劇団四季の深い関わりもお聞きする事が出来ました。
何より印象的なのは、劇団の方が、健康に大変注意されていることでした。
風邪を引くと踊ることは出来ても、声がかれて歌えなくなってしまう。
東京からのバックアップもなかなか難しいなか、
健康を注意されるプロの意識は大変高いものでした。
おかげさまで、私の心配は取り越し苦労で、問題なくロングランは終了しました。
今回は、桜が咲き、常禅寺通りのケヤキに新緑が芽生え、青々と茂る、仙台で最もいい季節の公演です。
きっと素晴らしい公演になるでしょう。
今から、とても楽しみです。
院長