世界には伝統的な医療がいくつか存在します。日本の伝統医療も、日本食はマクロビオティクスに、直伝霊気はレイキに、瞑想はマインドフルネスに、鍼灸もアクプンクチャーと名を変えて、欧米では、保険診療にも取り入れています。
世界最高レベルの西洋医学の実力があり、日本古来の伝統医学もある日本は、新しい医療の最先端を走る潜在能力を秘めていることに私は気づきました。
東洋医学やアーユルヴェーダ、チベット医学、ユナニ医学などの補完医療は西洋医学とは病気の考え方、診察の仕方、治療法が異なります。西洋医学が不得手とする、免疫、栄養、ホルモン、自律神経などのケアに重点を置いており、未病にも有効な手立てを持っています。
補完医療は2000年を超える歴史があります。それぞれの治療のよい点を生かして、西洋医学だけでは十分対応できない問題を解決することができれば、患者さんにとってきわめて有益な治療になります。これこそが統合医療の真髄と言えます。
これまでの医療をリードしてきた西洋医学は、臓器の治療に先鋭化するあまり、近年はその弊害が目立ってきています。この対症療法主体の医療は医療費の高騰を招き、保険診療は破綻の危機に直面しています。
また、再生医療や遺伝子工学などは日々進歩していますが、実用化まで長い年月が必要になります。それを待っていては、今苦しんでいる患者さんを救うことができません。それならば「現存する医療を総動員して治療にあたろう」というのが統合医療です。
西洋の考えと相対して東洋では、心と体は密接なつながりがあり、分離して考えてはいけないというのが基本。この考え方が、現代生活では妥当です。根本原因にまで遡って治療を行い、未病にも対応し、持続的な健康を実現する東洋医学など補完医療が社会的な課題を解決する救世主となり得るのです。
健康にはボディ、マインド、スピリット3つのバランスが必要です。快眠、快食、快便、適度の運動とリフレッシュを心がけた生活をし、西洋医学で臓器の不具合を治療し、補完医療で自律神経、ホルモン、栄養、免疫、そして心のバランスを調整すると、ボディ、マインド、スピリットのトライアングルがきれいに整います。QOLを高め、健康寿命を延ばすことが統合医療の使命なのです。