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声がかすれたら
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声がかすれると困りますね。
風邪を引いた時、
楽天イーグルスや、ベガルタ仙台を大声で応援した後、
子供さんを大きな声で叱った後、
カラオケで歌いすぎた後などなど、
声がかすれる原因はいろいろあります。
女性の方は生理の間、声がかすれてしまう事もあります。
声を出す声帯はとてもデリケートです。
声がかすれても、1週間もすれば、すっかり元に戻ることが多いのですが、
2週目に入っても治らない声のかすれは、要注意です。
耳鼻咽喉科で診察を受けることをお勧めします。
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声帯ポリープという病気
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声帯ポリープは、声がかすれる原因として最も多い病気です。
大声を出したり、強く咳をすると声帯に内出血し、血豆が出来ることがあります。
血豆の段階でのどを安静にすると自然に血豆が吸収されて、治りますが、
無理して声を出してしまうと、血豆からポリープが出来てしまいます。
ポリープが一度出来てしまうと、ほとんど自然に消えることはありません。
むしろ、左の写真のように徐々に大きくなります。
ポリープの大きさにより、ハスキーボイスからがらがら声まで様々な声になります。
声の改善には、ポリープを切除する手術が必要です。
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のどの手術の進歩
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喉頭鏡という筒を口からのどまで挿入して、この筒を通じてポリープを切除する全身麻酔下の内視鏡手術が行われます。
いまや、内視鏡手術は様々な領域で行われますが、喉頭の内視鏡手術は最も早く、
100年ほど前に開発されました。
今から16年前、独立行政法人国際協力機構JICAの派遣専門医として、
中国の瀋陽にある中国医科大学(昔、満州医科大学として発足)に滞在して、
当地で多かった喉頭癌の内視鏡手術の指導を行ったことがあります。
日本から、手術用顕微鏡、内視鏡手術の器械、レーザーメスが中国医科大学へ供与されました。
この機材を使って、現地の患者さんを、中国人医師に指導しながら手術します。
私が行く前は、首の皮膚を切って、癌を切除する手術が行われていました。
術後、むせてご飯が食べられなかったり、声が出なかったり、痛みがひどかったりと、患者さんの負担は大変大きいものでした。
中国の地方の患者さんは貧しく、長く入院できずに、
傷の治りも不十分なまま、食事もまだむせがひどい段階で、退院していました。
退院後の、外来での経過観察も不十分で、
患者さんは、いったいどうなるのだろうと、大変不安に思ったものです。
とにかく、中国は国土も広く、人も沢山いるのです。
現地に着いてまず、手術が適応になる患者様を沢山の喉頭癌の患者さんから選ぶことから始めました。
中国の患者さんは日本人の診察を受けることに、抵抗があったようですが、
最初に手術する患者さんが決まり、手術も無事終了しました。
手術が終わった日、病棟は大騒ぎになりました。
首に傷もなく、包帯もせず、外見は手術前と全く変わりません。
ご飯も普通にむせずに食べられます。
痛みもなく、声もかすれていますが、出せます。
そして癌は、ちゃんと切除されています。
患者さんは手術前とても不安そうでしたが、
とても喜んでくれました。
そして、術後1週間もしないで、元気に退院して行かれました。
そうすると、これまで日本人の治療に抵抗があった患者さんも、
次は私を手術してくれと、大変な騒ぎになりました。
何しろ、100年かけて進歩した手術の技術革新が、この病棟ではわずか1日で起こってしまったわけです。
手術の技術進歩が、いかに患者さんにとって恩恵となるか実感しました。
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声帯ポリープの日帰り手術
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さて、のどの手術の技術進歩は現在も続いています。
声帯ポリープの手術は、以前は約10日間の入院と、全身麻酔下の手術が必要でしたが、
最近は、入院しないで、外来で日帰り手術が出来るようになりました。
のどをスプレーで麻酔し、ファイバースコープで見ながら、切除します。
わずか5分ほどで切除が完了します。
手術後の音声の改善も入院して手術した場合と変わりありません。
経済的にも、体力面でも患者様のご負担が軽くなっています。
声のかすれが続き、耳鼻咽喉科で声帯ポリープと診断されたら、
手術について、お気軽にご相談ください。
院長