"冬の時期、朝目が覚めるとのどがカラカラに乾いて困る" とおっしゃる患者様がいらっしゃいます。
ひどい方は、 "夜何度か、水を飲むために起きなければいけないんです" とおっしゃいます。
お休みになる前に、枕元に水を入れたコップをご用意する、準備の良い方もいらっしゃいます。
口が乾燥すると、風邪を引いたわけでもないのに、のどが痛くなってしまいます。
これはどうしておこるのでしょうか?
鼻が詰まってしまい、口で呼吸することが原因です。
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鼻は優秀な加湿器、加温器、空気清浄機
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私たちの鼻はとても優秀な加湿器 兼 加温器 兼 空気清浄機です。
鼻の中には、たくさんのひだや空洞があり、表面積がとても広くなっています。
鼻の中を覆っている粘膜を広げると畳一畳分の広さにもなります。
そして、鼻の粘膜には、血管が沢山あり、大量に血液が流れています。
粘膜表面近くにも血管があり、吸った空気を暖め、加湿しているのです。
ちょっと鼻の粘膜に傷がついただけで、鼻血が出てしまうのはこのためです。
肺はとてもデリケートな臓器なので、冷たい空気が入ると気管支は驚いてしまい痙攣します。
すると喘息発作のように、咳が出たり、息が苦しくなってしまいます。
鼻は、肺が驚かないように、空気を肺にとって最適の状態にしてくれるのです。
蔵王でスキーをしていると、鼻から吸う外気はマイナス20度、湿度は10%ほどです。
この空気が直接肺に入ったら、大変です。
息をするのも苦しいことでしょう。
ところが、鼻を通じて、この乾燥して冷たい外気を吸うと、
肺に届くときには、沖縄の海辺の空気のように湿度80%温度30度近くになります。
しかも空気に含まれている埃や花粉、細菌、ウィルスなども80%くらい除去してしまいます。
空気清浄機としても、私たちの鼻はとても優秀です。
どうです。皆さんの鼻はこんな凄いことを24時間、365日休まずにしているんです。
鼻水が出るとか、鼻が詰まるとか、ご自分の鼻に文句ばかり言っていませんか?
時には、このすばらしい鼻に "いつも有り難う" といって下さいね。
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口呼吸は、百害あって一利なし
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さて、口を開いて呼吸をすると、このすばらしい鼻の機能が機能しません。
においを感じることも出来ません。
口呼吸は、見た目にもだらしが無いものですが、健康にも良くないのです。
鼻が詰まってしまうのが口呼吸の主な理由です。
起きているときは、鼻が心臓より高い位置にありますので、
重力で血液が心臓に戻りやすくなります。
鼻の血管に血液が停滞し、鼻が腫れて詰まることは無いのです。
ところが、横になると、頭と心臓が同じ高さになり、頭部の血液が心臓に戻りにくくなります。
朝起きたときに顔が少しむくんだように見えるのはそのためです。
鼻の中には、前に述べましたように血管が沢山あります。
停滞した血液により静脈も膨らみがちになり、鼻の粘膜が腫れてきます。
起きているときよりも、寝ているときの方が、鼻が詰まるのはこのためです。
右下に寝ると右の鼻が詰まり、左下に寝ると左が詰まるのも同じ原理です。
ネーザルサイクルといって、一部の人では、時間帯によって交互に、
どちらか片方の鼻孔を主に利用して呼吸をする現象があります。
このような方は、さらに鼻が詰まりやすくなることがあります。
鼻が詰まると、どうしても鼻呼吸が出来なくなり、口を開けて寝てしまいます。
冬は空気が乾燥し、部屋の湿度が30%を下回ることもよくあります。
口を開けて寝てしまうと、口の中の水分が奪われて、口が乾燥してしまうのです。
ご高齢の方は、唾液の分泌が若い頃に比べて、少なくなっていますので、口が渇きやすくなります。
冬、朝目が覚めると、口がカラカラに乾く理由をご理解頂けましたでしょうか?
次回はこの対処法について、お話しします。
院長