逆流性食道炎は、横隔膜の位置にある、胃から食道への逆流防止弁を超えて、胃の内容物が食道内へ逆流することで始まります。
逆流性食道炎になると、胸焼けの他、慢性の咳や、咽喉頭異常感、胸痛、耳痛など様々な症状がおこります。
テレビCMがあるほど、逆流性食道炎は、今、日本で増加傾向にあります。
以前は、米食が主でしたので、加齢に伴い胃の粘膜は萎縮し、胃酸分泌は、徐々に低下していました。
ところが、食事の欧米化により、高齢になっても、胃粘膜は萎縮せず、高い胃酸分泌を維持するようになりました。
胃がんが減り、逆流性食道炎が増えてきたのはこのためです。
ご自分が、逆流性食道炎か調べる簡単な問診票もありますので、参考にして下さい。
逆流性食道炎の症状は、日常生活を注意することで、改善することが出来ます。
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食事の注意
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正常の人でもお腹いっぱいに食べると、逆流が起こります。
だらだらと間食を取ったり、お腹いっぱいの食事は逆流の原因となります。
規則正しく食事を取り、一度にとる食事の量を減らし、腹八分目を心がけましょう。
また、早食いもよくありません。
食事はよく噛んで、ゆっくり食べましょう。
★胃酸分泌を増やしたり、胃に長くとどまって、逆流の原因になるので出来るだけ控えた方がいい食物
・レモン、みかんなど柑橘系の果物や、トマト、イチゴなど酸っぱい果物
・酢、酢の物など酸っぱいもの
・チョコレート、ケーキやまんじゅうなどの甘い物
・香辛料の強いスパイシーフード
・スナック菓子、炒め物、揚げ物
・牛、豚の脂身、天ぷら、豚カツ、ベーコンなど脂肪分の多いもの
・ファーストフード(ハンバーグ、ピザ、牛丼など)
・タンパク質の多い食事は消化に時間がかかり、胃に長くとどまるため、逆流が起こりやすくなります。
★控えた方がいい飲み物
・ビールや、コーラなど泡が出る飲み物は、胃がふくれて逆流の原因になります。
ビールはあきらめて焼酎など泡のでない飲み物にして下さい。
・お酒、アルコールは、胃酸の分泌を増やすと同時に、逆流防止弁をゆるめることが分かっています。
アルコールはできるだけ控えましょう。
・コーヒーや緑茶などに含まれるカフェインも、胃酸の分泌を増やします。
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生活上の注意
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食後約3時間は、胃の中で食物が消化されています。
この間は、胃の内容物の逆流が起こりやすくなります。
食後すぐに横になったり、寝る前に食事をとることは避けましょう。
どうしても眠いときは、頭を胃より高くして寝る工夫が必要です。
十二指腸を経て腸内に食物が移動すれば、もう逆流することはありません。
腹圧が高くなると、胃の内容が食道に押し上げられ、逆流をおこします。
また、胃と食道の間の逆流防止弁をゆるめてしまうことも避けましょう。
・喫煙により、逆流防止弁がゆるみます。禁煙を心がけてください。
・咳をしたり、重い物を持つと腹圧が上がり、逆流が起こりやすくなります。
食後すぐの運動は避けましょう。
・姿勢
背中の曲がった人、猫背の人は腹圧が上昇し、逆流を起こしやすくなります。
姿勢に気をつけてください。
・衣類
ベルト、コルセット、ガードル、着物の帯などで、おなかを締めつけると、腹圧が高くなり、逆流を起こしやすくなります。
・肥満、妊娠
肥満の人は、食道裂孔ヘルニアになりやすく、逆流防止弁が働きません。
また、腹圧が上がることで、逆流しやすくなります。
食生活の改善とともに、適度な運動を行い、肥満を解消しましょう。
妊娠中も、腹圧が上がります。
妊娠中は、逆流性食道炎の症状が出やすくなります。
・他の病気に使用する薬の影響
喘息、血圧、心臓の病気などに使う薬の中には、逆流防止弁をゆるめる作用をもつものがあります。
抗ヒスタミン薬(アレルギーのお薬)
三環系抗うつ薬(抗うつ剤)
カルシウム拮抗薬(降圧剤)
プロゲステロン(女性ホルモン)
ジアゼパム(抗不安薬)
ニトロ製剤(狭心症のお薬)
非ステロイド性抗炎症薬(痛み止め、解熱剤)
喘息治療薬
・ピロリ菌の除菌
ピロリ菌は胃の中に生息する細菌で、胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの病気の原因のひとつです。
ピロリ菌によって胃に炎症が起こると、胃酸の分泌が少なくなります。
ピロリ菌を除菌すると、胃酸分泌が増すので、一時的に逆流性食道炎が起こることがあります。
以上のような、食事や生活の注意をするだけで、逆流性食道炎の症状は大分改善されます。
お薬を飲むだけで、安心しないで、是非生活上の注意を心がけて下さい。
院長