『プーと大人になった僕』をご覧になりましたか? 子供向けというより大人向けのいい映画ですね。
『お仕事は風船より大切?』というプーさんの言葉は、クリストファー・ロビンだけではなく、全ての大人に、沢山の気づきを与えてくれます。
私たちは、仕事や毎日の雑事に忙殺されて、無意識に、沢山の大切なものを犠牲にしたり、我慢して生きています。健康に大きな影響を与える環境因子は、日常生活に潜んでいるので、なかなか気づきにくいものです。環境因子のお話をする前に、ご自分の体や心の声を聞く耳を持つ必要性をお話しします。
アレキシサイミア、アレキシソミアという言葉をご存知ですか?日本語に訳すと、アレキシサイミアは失感情症、アレキシソミアは失体感症となります。
アレキシサイミアは、自分の感情に鈍感になってしまい、自分の気持ちを感じたり、言葉で表現することが難しくなることを言います。アレキシソミアはさらにご自分の身体の痛みなどの感覚に気づくことも難しくなることをいいます。
ストレスがかかった状態が長く続くと、ストレスが無い状態のことを忘れてしまい、自分にストレスがかかっているのかわからなくなります。ストレスがかかった状態が普通となってしまうのです。ご自分の苦しい、つらい、悲しいという感情が、押し込められてしまい、アレキシサイミアとなります。
すると今度は、鬱積された感情が、身体の症状となって現れます。頭痛や、腹痛、不眠、肩こり、手のしびれ、耳鳴、めまいなどです。このような症状は、病院に行って検査を受けても、なんら異常が出ないことがほとんどです。『異常がありません、気のせいです』といわれるかもしれません。抗不安薬などの向精神薬を処方されるかもしれません。結局、症状が改善することはありません。
このような体の症状が長く続くと、この状態が平常となってしまい、症状を感じられなくなります。これがアレキシソミアです。ここまでくるとかなり危険なレベルで、病院でも診断される病気が発症します。
私たちの心や体は、ホメオスタシスといって健康な状態を保とうとしますが、外的因子や、内的因子によって、健康が脅かされると、何らかのサインを送ります。このサインに早く気づくことが出来れば、心身の健康を保つことが出来ますが、無視すると、徐々に健康がむしばまれます。我慢は美徳ではありません。日常生活の中に潜んでいる環境因子に早く気づくためにも、ご自分の体や心の声とちゃんと向き合うことが大切です。
環境因子を避けて、どのようなライフ・スタイルで生きるかが、先制医療の重要ポイントです!
迷子になったクリストファー・ロビンを見つけたプーは、あなたの中にもいるはずです。
朴澤 孝治