東日本大震災から、10年が過ぎ、思うこと

東日本大震災から、10年が経とうとしています。

私たちにとって、まさに未曾有の体験で、震災後、お一人お一人がそれぞれのドラマを生き抜きました。

東北人の忍耐力は、世界中から賞賛され、絆、復興などを合い言葉に、世界各国からの暖かいサポートもあり、10年間で、震災前の日常を、大分取り戻すことができるようになりました。

インフラを初めとする形ある物は大分元に戻りましたが、震災前の状態に戻る事が、本当の復興とは、私には思えません。

毎日の生活に追われてしまうと、見過ごしてしまう事に、震災は、気づかせてくれました。このような気づきはとても大切で、未来に受け継ぎ、よりよい形になるよう生かしていくことが大事です。

震災の夜、停電で真っ暗な街のうえに拡がった、満天の星空。

私たちが海に垂れ流したヘドロなどが、津波で陸にもどされたあとの澄んだ海。

このような非日常的な情景は、私達が知らず知らずのうちに、自分たちが住む地球をひどく汚染してきたことを教えてくれました。

以前は食材があふれていたスーパーで、何日も空っぽになった棚は、飽食の時代に忘れていた、食料の貴重さを教えてくれました。

今、スーパーの棚は、また食品であふれて、余った食料が大量に廃棄されています。

一方で、気候変動により、十数年後には世界的な食糧危機が来ると予想する人もいます。

毎日薬を飲むことで維持していた健康が、薬がなくなることで、いとも簡単に崩れてしまいました。薬に頼らない健康を目指す医療が、未来の医療だと、震災後、私は感じました。

しかし、今、症状の改善が簡単に得られる対症的な治療に、私たちはまた戻ってしまいました。

本当の健康とはなんでしょう?決して薬で維持された健康ではないはずです。震災から10年が過ぎ、そして当院の開院から10年が経ち、私は、引き続き、薬に頼らない根本治療、統合医療、先制医療の必要性を訴えていきたいと思います。

2020年、グローバリゼーション、国境の壁を撤廃するEUなどの動きが加速する中、新型コロナウィルスのパンデミックが起こりました。

感染対策として、国境を越えての移動が制約され、ステイホームで、個人の行動の制限も課せられました。インターネットを通じたテレワーク、インターネットショッピングが、急激に発達する一方、人間的なつながりをたたれたことに適応できない人は、体調を崩しています。

過去の歴史を振り返ると、自然災害や、疫病は、人の生活に大きな変化をもたらしてきました。

今回のコロナ禍でも、皆さんいろいろな事を感じていると思います。そして、東日本大震災の時に感じたことも決して忘れないで下さい。

2月13日、福島県沖で、マグニチュード6の大きな地震がありました。まるで、震災をフラッシュバックさせるかのようです。

地震の後、実際には揺れていないのに揺れているように感じたり、地震なのか、めまいなのかわからないという方がいらっしゃいます。

これを「地震酔い」と呼びます。

地震酔いを検査する簡単な方法としてマン検査があります。
綱渡りをするように、片方の足のつま先をもう一方の足のかかとに併せて、足を一直線とし、"気をつけ"の姿勢で何秒立てるかを診る検査です。
通常私たちは、目を開けても閉じてもこの姿勢で30秒間立つことができます。

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ところが、震災後、マン検査をすると、80%の人が目を開けても30秒間立っていられませんでした。そして、マン検査で異常な人は、地震後何らかのめまいを感じていました。

長時間船に乗って航海した後に下船し、上陸してもまだ船に乗っている様な動揺感が数ヶ月から数年持続することがあります。これを後揺れ症候群といいます。
東日本大震災では余震が多く、私たちも長く船に乗っているのと同じような経験をしました。そして、震災のあと、この後揺れ症候群によるめまいに悩んでいる方がいらっしゃいました。

体の釣り合いを保つために必要な三半規管、視覚、深部知覚からの情報を統合する小脳前庭が、地震でうまく機能しなくなったためのめまいです。

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地震揺れは、薬物療法は無効で、リハビリが大切です。めまいの時は、横になって安静にするのがよいといわれますが、寝ていたのでは、地震酔いはいつまで経っても治りません。

横臥位で左右に寝返りを繰り返すローリング、座位で左右に倒れる運動を繰り返す運動、そしてラジオ体操の順番にリハビリをします。

地震酔いの検査法と、リハビリの方法をまとめた動画を、ご用意しました。地震酔いで悩まれている方は是非、ご覧下さい。

院長

hozawa (2021年3月 9日 08:21)