2022年10月20日
慢性に咳が出て、お困りの患者様がよくいらっしゃいます。 コロナ禍では、なかなか人前で咳をするのもはばかられるので、 一生懸命咳をこらえて、苦しそうにされています。 特に、夜になると咳が止まりません。 えへん虫が喉にいる感じです。 咳で目が覚めることもあり、眠れないほどです。 咳が続くと吐きそうになることもあります。 痰はそれほど多くありませんが、つばのような透明な痰が出るときがあります。 ひどい風邪を引いた後、熱は下がったのに、咳だけが続く方もいます。 呼吸器内科を受診しても、肺はもう大丈夫と言われます。 耳鼻科を受診しても、蓄膿症もないし、のどにも異常はありません。 咳止めのお薬をもらっても、なかなか良くなりません。 咳が長く続くと、ご本人にとっては大変苦痛な症状です。 病院に行っても原因がわからず、困ってしまいます。 この様な症状の方で、胃酸の逆流が原因になっている方がいらっしゃいます。 そして最近、この様な患者様が増えている印象です。 胃酸の分泌を抑えるPPIと言う薬があります。 胃酸の逆流が原因の場合、これまで改善しなかった症状がPPIの服用で2~8週間で楽になります。 患者様 先生、咳が止まらないんです。 内科、呼吸器科、耳鼻咽喉科などで、見てもらったんですが、 肺も喉も異常なしと言われました。 咳止めを飲んでいるんですが、1ヶ月間咳がまったく止まりません。 院長 それでは、診てみましょう。やはり、喉には異常ありませんね。 胃酸の逆流が原因の可能性があります。 胃酸分泌を抑える薬を飲んでみて下さい。 患者様 先生、私は咳で来たんで、胃が悪いわけではないんです。 咳止めはくれないんですか? 院長 咳止めを1ヶ月飲んでも咳が止まらなかったんですよね。 患者様 でも先生もっと効き目の高い咳止めがあるんじゃないんですか? 院長 あなたにとって最も効果のある咳止めはこの胃薬ですよ。 まず2週間試してみましょう。 はてなマークが患者様の頭に浮かんでいるのが、はっきり見えます。 でも、2週間後 患者様 先生、胃薬で咳がピタリと止まりました。不思議ですねー? 院長 それは良かった。食生活には十分気をつけて下さい。 胃酸が食道や喉、気管に逆流するとその刺激で、咳が出ます。 食べ物を間違って、肺に吸い込んだときにむせて、咳が出るのと同じです。 こんな時は胃酸を押さえると咳が止まります。 慢性の咳の原因で、逆流性食道炎は、最も多いとされています。 逆流性食道炎は不思議な病気です。 特別な検査器械が無いと、胃酸の逆流を証明できません。 胸焼けのような逆流性食道炎に特徴的な症状も、 実際には、逆流性食道炎の人の40~60%しか、感じていません。 ですから、胸焼け症状が無いから胃酸の逆流は無いとは言えないのです。 胃カメラをしても食道にびらんが見つかるのは 逆流性食道炎の半数しかいないとされています。 このようにつかみどころが無く得体が知れない病気ですが、 症状の原因として特定され、PPIの内服を開始すると、 ほとんどの方で、症状が改善します。 なかなか治りにくい喉の症状がある時は、専門医に相談して治療を受けて下さい。 院長
コロナ禍になってから、「咳をすると、人の目が気になる…」というお話しをよく聞くようになりました。長引く咳は心身ともに疲れてしまいますね。 今回は、慢性の咳についてお話しします。
慢性の咳の原因は。
胃薬で咳が治った!?
逆流性食道炎と咳の関係
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