2025年06月10日
最近、臭い玉があるので診て下さいと言って、
受診される患者様が増えてきました。
臭い玉は、医学的には膿栓といい、
扁桃に慢性の炎症がある時に、
扁桃の陰窩にたまる膿の固まりです。
白いおからのようなモノが口から出てきて、
潰すととても嫌な臭いがします。
膿栓は、口臭や、
喉の違和感、軽い痛み、
微熱、全身倦怠感などの症状を起こします。
扁桃の表面は、デコボコしていますが、
ただの窪みではなく、
アリの巣のように、扁桃の中に枝分かれしながら入り込んでいます。
扁桃は、のどの奥の左右に、門番の様にあります。
口から入り込んだ、細菌を取り込んで調べて、
退治するための武器を作る工場なのです。
ところが、取り込んだ細菌が居座ってしまうと、
慢性の炎症を起こし、膿栓が出来ます。
膿栓は、点のように見えますが、
実は陰窩を埋め尽くす線状のもので、
押し出されて表面から出てきたものが臭い玉です。
抗生剤を飲んでも、
完全に細菌を死滅させることが難しくなります。
臭い玉の治療は、
まず慢性扁桃炎の診断をします。
扁桃嚢胞も白く見えますが、
口臭の原因にはならず、治療は不要です。
口臭の原因には、臭い玉の他、
歯周病、蓄膿症、上咽頭炎、逆流性食道炎などがあり、
口臭を治すには、それらとの鑑別が大切です。
臭い玉の診断がついたら、
まず、内服治療を1ヶ月行います。
小柴胡湯加桔梗石膏とマクロライド少量長期投与の併用で、
臭い玉が消えればしめたものです。
これで改善しないときは、
日帰りで、局所麻酔下の扁桃陰窩凝固術を行います。
針状の電極を陰窩に挿入し、高周波電流を通電し、
陰窩と、陰窩の中にいる細菌を凝固します。
左右で15~20分程で、終了します。
1~2週間で、術後の痛みが取れ、
扁桃は元の大きさの半分になり、
表面に陰窩が無くなるので、
膿栓がつかなくなり、症状が改善します。
扁桃が大きい方、
高熱を伴う扁桃炎を繰り返す方は、
扁桃陰窩凝固術では改善せず、
入院して、全身麻酔下の口蓋扁桃摘出術を受ける必要があります。
局所麻酔が受けられない持病がある方、
遠方にお住まいで、手術後の通院が難しい方も
この手術を受けることが出来ません。
臭い玉で、お悩みの方、お気軽にご相談ください。
院長
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