朴澤耳鼻咽喉科

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2022年12月08日

【Dr.ブログ】グルグル回るめまいが1日以上続いたら、前庭神経炎かもしれません。

 

 

グルグルまわる回転性のめまいが数日間続き、
一旦良くなっても、めまいの発作を繰り返す場合、
前庭神経炎が原因のことがあります。

体の釣り合いを保つ三半規管の情報を
脳に伝える前庭神経に、
ヘルペスウィルスが感染することで発症します。

 

 

ヘルペスウィルスは、
子供さんの頃、水疱瘡に罹患することで、
私たちの体に入り込みます。

何年もの間、じっと体の中に潜んでいて、
60才を過ぎて免疫が弱ってくると、
また活動を開始します。 

皮下の神経に感染すると
帯状疱疹という、
神経の分布する部分に水疱を作り、
痛みやかゆみを起こします。

前庭神経に感染すると、
前庭神経炎を起こします。

前庭神経炎のめまいは、
3つのステージに分けられます。
 



 
第1ステージは、
ウィルスが前庭神経に感染することで始まります。

風邪症状をきっかけに、あるいは前駆症状なしに
回転性の激しいめまいが始まり、
3日~10日ほど
起きることができないほどのめまいが続きます。
 

第2ステージでは、
ウィルスの活動が収まったあとの、
前庭神経の機能低下によるめまいが起こります。
ふらふらするような動揺性のめまいが主で、
まっすぐに歩けなかったり、
頭を振るとめまいがすることが数ヶ月続きます。
 

第3ステージは、
めまいが落ち着いてしばらくたってから、
最初の時よりは軽いものの、
同じようなグルグル回るめまい発作が
時間をおいて繰り返すようになります。


ウィルスが神経に感染すると
一生神経細胞のなかに潜んでいます。

通常は免疫の力でウィルスを押さえ込んでいますが、
体調が崩れて免疫が弱ると、
ウィルスが活動を開始します。

これを、ウィルスの再活性化といいます。
 


 

帯状疱疹の方は、神経痛が悪化しますし、
前庭神経炎の方はめまい発作をおこします。
これが、第3ステージのめまいです。
 

最初の感染の時や、
ウィルスの再活性化がおこり、
回転性めまいが続くときは、
抗ウィルス薬を内服すると
早くめまいを抑えることが出来ます。
第1ステージ、第3ステージのめまいが、適応になります。
 

患者様は、手元に抗ウィルス薬があれば安心です。
めまいを感じたらすぐに飲み始めれば、
ウィルスの活動を早期に抑えることが出来、
あまりひどくならないうちにめまいが落ち着きます。 




 
一方、第2ステージのめまいは少しやっかいです。
ウィルスが感染した神経は、情報を送る能力が低下します。
ちょうど、信号を送る電線が、
何本か断線してしまった状態です。

 
脳は、
左右の三半規管からの情報を統合して、
体の釣り合いを保っています。 

ウィルスが感染すると、
感染した耳からは通常よりも少ない情報しか
脳に送られなくなります。
すると、脳は混乱して体の釣り合いを保つことが出来ず
めまいを感じてしまうのです。 

飛行機の片方のエンジンが不調になり、
もう片方のエンジンだけで飛行するようなものです。
 



 
飛行機は片方のエンジンだけでも
ちゃんと飛ぶことが出来ますが、
パイロットの高度な操縦技術が必要です。 

前庭神経炎の患者さんの場合も、
片方の三半規管からの情報が少なくても、
ちゃんとバランスをとれるように
脳の働きを高める必要があります。 

このためには、薬を飲んでも効果が無く、
体を動かすリハビリテーション、
めまい体操をする必要があります。
 


 

医師の指導の下、
段階を追ってリハビリテーションを進めると、
脳の機能が高まり、めまいが徐々に消えていきます。 

めまいを感じたら安静にといいますが、
この場合は例外で、
安静にしているといつまでもめまいは良くなりません。 

前庭神経炎のめまいはこのように治すのが難しく、
状況に応じた治療が必要です。
なかなか適切な治療を受けることが出来ずに、
長期間にわたりめまいで悩んでいる方もいらっしゃいますが、
正しい診断と治療を受けることでめまいから解放されます。 

どうぞお気軽にご相談下さい。

院長

 

 

YouTube 解説はこちら下矢印

 

動画の内容

 

・ぐるぐるめまい前庭神経炎3つの特徴

・原因は日本人の90%が持っているウィルス!?

・ぐるぐるめまいの止め方

・前庭神経炎は再発予防が大切!!

 

 

 

 

 

 

 

 

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