最近、よくむせる方へ、えん下障害のはなし

日本は、世界でも群を抜いて長寿の国です。
1900年には50才に満たなかった平均余命は、今や女性で85才を超え、男子も80才近くなっています。
毎年、世界保健機構WHOが発表する平均余命も、世界1位または常に上位にランクされています。

かつて、高齢化社会と呼ばれていましたが、今、日本はすでに高齢社会となっています。
いかに、楽しく、充実した老後を過ごすかということは、お一人お一人にとって大きな課題になってきました。

子供さんに迷惑をかけずに、自立して、しかも日本が戦後の奇跡の復興を遂げた主役であった皆さんには、
大いに人生を楽しんで頂かなければなりません。

最近、メタボリックシンドロームという言葉を、よく聞かれると思います。
高血圧や、糖尿病など生活習慣病といわれる病気を、発病する前に日常の生活を注意することにより、
発症を予防しようという考え方です。
一度病気が発病すると、なかなか治すのが難しいのが現状ですが、
発病を予防することが出来れば、さらに寿命が延びることが期待されます。

それでは、ロコモーティブシンドロームという言葉を聞かれたことはありますか?
これは、高齢となった後も、他人の介護を受けないで自立した行動が出来るように、
若い頃より、脚、膝、腰、手などの運動器の老化を遅らせる運動を心がけようという考え方です。
東京大学の整形外科教授の中村耕三先生が提唱している考えです。

老後を楽しむためには、加齢変化により機能が低下してしまってから、リハビリテーションを行うよりも、
きざしが出たところで、リハビリテーションを開始したほうが、長く機能を保つことが可能となります。

当院では、音声に関して、東北で始めて、このような取り組みをすでに開始して多くの患者様にご好評頂いております
今回、嚥下に関しても講習会と、嚥下のリハビリテーション指導を開始しました。

嚥下はより生命に直結する機能です。
食事は人生を楽しむ大きな意義がありますが、むせがひどくなると、えん下性肺炎を起こしてしまいます。
現在、日本人の3人に1人は肺炎で亡くなるといわれています。
その背景に、癌や脳梗塞などの疾患があっても、直接の死亡の原因は、
えん下性肺炎を含めた肺炎であることがとても多いのです。
私もファンだった、中村勘三郎さんも食道癌の手術を終えて、回復の過程で肺炎で亡くなられてしまいました。

嚥下障害が出る前に、

最近少しむせるなー
飲み込みが悪いなー
食事に時間がかかるようになったなー
 

と思われたら、是非嚥下の講習会に参加してみて下さい。
嚥下障害が進まないための様々な情報を学ぶことができます。

●12月8日 【摂食・嚥下講座】『嚥下障害を克服し、食事を楽しみましょう』

毎月第2週の土曜日、午前10時から嚥下の講習会が開催されます。
まず、食物を飲み込むための体の仕組みを勉強して頂きます。
言語聴覚士がわかりやすくお話ししますので、日常行っている嚥下という動作について、より詳しく知ることが出来ます。
次ぎに、耳鼻咽喉科医師と言語聴覚士による嚥下の検査を受けて頂きます。
現在のご自分の嚥下の機能がどの程度で、どこに問題があるかを、明らかにします。
最後に、検査の結果をもとに、お一人お一人にあった嚥下のリハビリテーションの方法を、ご指導します。
講習会は、お一人でも、家族の方とご一緒でも参加することが出来ます。

2時間の講習会ですが、その後ご自宅で、リハビリテーションを実施して頂きます。
お一人で不安なときは、引き続き、言語聴覚士と1対1で行う、30分間の嚥下治療を定期的に受けて頂くと、より効果的です。
来年1月以降の講習会の予定や嚥下治療について、詳しくお知りになりたい時は、お電話022-397-8337、またはメールでお問い合わせ下さい。
 
どうぞお気軽にご参加下さい。

院長

hozawa (2012年12月 7日 18:59)