2022年09月25日
前回のブログを読んだ方から、睡眠は何時間とればいいですかと聞かれました。 睡眠時間に関して様々な統計がありますが、 こと健康に関しては、統計は当てになりません。 ナポレオンは3時間の睡眠で十分でしたし、 アインシュタインは9時間以上寝る必要がありました。 私たちは、遺伝的に雑種で、一人一人異なります。 決められた睡眠時間はありません。 睡眠中は、 約90分(70~110分と人により幅があります)間隔で レム睡眠とノンレム睡眠が繰り返されます。 レム睡眠は、体は寝ていますが、 脳は半覚醒状態で、夢を見る事もあります。 ノンレム睡眠は脳も寝る時間で、 最初のノンレム睡眠時に成長ホルモンの分泌が起こります。 最初のノンレム睡眠を熟睡すると質の高い睡眠になります。 ですから睡眠時間は3時間以上で、 約90分の倍数がいいと言うことになります。 ご自分に合った睡眠時間を見つけて下さい。 この、レム睡眠とノンレム睡眠の周期が壊れる病気があります。 睡眠時無呼吸症候群です。 睡眠中に、10秒以上続く呼吸停止が、 1時間に5回以上あると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。 日本人の約2%、200万人が罹患していると考えられていますが、 実際に治療を受けている方は40万人しかいません。 正常の方と重症の無呼吸の方の検査結果を比べてみましょう。 横軸は時間で、夜の12時から朝の5時過ぎまでの呼吸が記録されています。 青が、呼吸の状態、茶色がいびきの音、 赤が血液中の酸素濃度を示しています。 上のグラフに示す正常の方は、 呼吸が途切れることなく、いびきも少なく、 酸素濃度もほぼ100%を維持しています。 下のグラフに示す無呼吸患者さんの場合、 呼吸も途切れ途切れで、 いびきを休み無くかいています。 そして酸素濃度は、乱降下し70%をきってしまっています。 これでは、脳がおちおち寝ていられないので、 ノンレム睡眠がなくなります。 ホルモン分泌が低下し、 夜起こるはずの体のメンテナンスがうまくいきません。 自律神経のバランスも大きく崩れてしまいます。 自律神経は交感神経と副交感神経のバランスで体調を維持します。 睡眠不足の方は副交感神経が低下し、 働き過ぎでストレス過多の方は交感神経が低下しますが、 睡眠時無呼吸症候群の場合は両方とも極端に低下します。 ご本人は十分な睡眠時間を取っているつもりでも、 睡眠の質が最悪のため、様々な体の不調が生じます。 めまいや、全身倦怠感、高血圧、心筋梗塞、脳梗塞、 不整脈、うつ病、糖尿病などの症状で病院を受診する方もいます。 睡眠時無呼吸症候群を治療することで、 すべての問題が解決することも多いのです。 朴澤 孝治
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