2024年03月29日
60才以上の方が、ふらふらするめまいがあるとおっしゃって、
来院することが多くなりました。
脳のMRIなどの検査を受けても異常が無く、
かかりつけの内科で、血液検査を受けても問題が無く、
耳鼻科の診察を受けるように勧められて受診されるケースが多いです。
症状をお聞きすると、
グルグル回るのではなく、ふらふらするめまいで、
朝、起き上がったとき、
夜、トイレに起きたとき、
靴を履いて立ち上がったとき、
長く歩いたあと、
食事のあとに起きることが多く、
寝ているときや、安静に座っているときは大丈夫です。
頭痛がしたり、だるかったり、
時には、短時間ですが、意識を失う方もいます。
こんな時は、耳鼻科の検査をしても問題が無く、
血圧の異常によることが多いです。
血圧が高すぎても、低すぎても、めまいはおこります。
上の血圧が100以下、下が60以下の時、低血圧と診断されます。
上の血圧が140以上、下が90以上の時、高血圧と診断されます。
老化により、動脈硬化が進むと、血管が硬くなり、
血圧が高くなります。
現在、75才以上の方の約80%は、高血圧と診断されます。
私が医師になった1960年頃は、年齢+90が、正常血圧でした。
75才の方の正常血圧は75+90=165だったわけです。
血圧が高いと、脳卒中、心筋梗塞、腎不全など、
命を脅かす病気を発症するリスクが高くなります。
そのため、血圧の基準は、徐々に、厳しくなり、
現在は、年齢に関係なく、140/90以上は高血圧と診断され、
120/80未満に下げるよう治療が開始されています。
高齢者の血圧の変動は大きく、
個人差も激しいことから、
日本老年医学会では、
高血圧の評価を慎重に行うよう推奨しています。
過度に血圧を下げると、
脳の血液循環が減少し、
認知機能の低下を招いたり、
脳梗塞のリスクが高くなります。
日本老年医学会では
高血圧の基準、血圧を下げる目標とも、
年齢に応じて、ややゆるめの基準に設定しています。
キリンは、首が長く、脳まで血液を送るために、
血圧が260以上もあります。
低血圧の方は、
疲労などで、血圧が更に下がると、
脳に血液が回らなくなり、
ふらふらめまいが起こります。
高血圧で治療中の方も、
血圧が下がりすぎると、
起立性低血圧となり、
立ち上がったり、歩いているときに
ふらふらめまいが起こります。
食後には、
食べたものを、胃や腸で消化・吸収するため、
沢山の血液が消化管に集まり、
脳に行く血液が減り、
食後低血圧となり、
ふらふらめまいが起こり、
ひどいときは、短時間ですが、気を失ってしまう方もいます。
血圧は高いのもいけませんが、
低すぎるのも、めまいの原因になります。
朴澤耳鼻咽喉科では、
ふらふらめまいでいらっしゃった方の血圧を、
まず、座って15分ほど安静に休んでいただいたあと測定し、
その後立ち上がって、直後、5分後、10分後と測定します。
正常の方は、血圧に大きな変化はありませんが、
激しく上下する方もいらっしゃり、
血圧が下がると、
立っていることが難しくなる方もいらっしゃいます。
60才以上の方で、ふらふらめまいを感じる方は、
高血圧の治療中で、降圧剤を飲んでいるときでも、
主治医の先生とよく相談し、
脳卒中や心筋梗塞のリスクを避けながら、
ふらふらめまいも起こさない、
ちょうど良い血圧に調整するといいと思います。
一律に、この値にしなければいけないというのではなく、
一人一人に、あった血圧の値があるのです。
血圧を上げないようにする生活の注意も
是非守って下さい。
院長
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