2023年10月03日
コロナ禍が一段落し、飛行機で旅行する方が増えてきました。
飛行機に乗った後、耳が痛かったり、
聞こえが悪いと言って受診される方も増えています。
地上と、上空の気圧の変化による、航空性中耳炎です。
航空機は飛行する1万メートル上空の気圧は、約0.2気圧ですが、
飛行中の航空機の機内の気圧は、0.8気圧に調整されています。
それでも、富士山5合目くらいの高さにいるのと同じ気圧です。
この気圧の変化が、離陸して15〜30分の短時間におこります。
手荷物で持ち込んだ、ポテトチップの袋が上空で、
パンパンに膨らんで驚かれた経験はありませんか?
気圧が下がった影響です。
私たちの鼓膜の内側でも同じ事が起こり、鼓膜が、膨らんできます。
最初は、耳が詰まった感じがし、徐々に痛くなり、聞こえが悪くなります。
あくびをしたり、つばを飲んだりすると、耳の痛みが取れ、聞こえも良くなります。
いわゆる、耳抜きといわれる動作で、
鼓膜の内側の空気が、中耳と鼻をつなぐ、耳管を通じて、鼻に抜けて、
鼓膜の内側と、外側の気圧が同じになります。
着陸する時は逆に上空の気圧が低いところから、
地上に戻り、0.2気圧、圧が高くなります。
プールで、2メートル潜った時と同じ変化です。
このときは、鼓膜が気圧で内側に押し込まれる形になります。
耳管を通じて、空気が鼓膜の内側に入らなければならず、
離陸の時より、鼓膜の内と外の圧を同じにするのが難しくなります。
長引くと鼓膜の内側に水がたまり、航空性中耳炎が発症します。
飛行機に乗る時に風邪を引いていたり、アレルギー性鼻炎や、蓄膿症があると、
耳管の調子が悪くなりやすく、航空性中耳炎を起こしやすくなります。
飛行機に乗るときは、鼻のケアをよくしてから乗るのがいいですね。
気圧の変化を和らげる耳栓をしたり、
離陸、着陸の時はあめをなめて、嚥下を頻回にすると、
耳管が開き、気圧の変化の影響を最小限にすることが出来ます。
一方、台風が近づくと、耳が痛くなり、難聴や、めまいを起こす方がいます。
気圧の変化による、気象病です。
この場合は、中耳ではなく、より奥の内耳に変化が起こります。
天気予報で、台風の大きさを気圧の単位ヘクトパスカルで表します。
通常の地上の気圧は、1013ヘクトパスカルですが、
大きな台風では、920ヘクトパスカルまで気圧が下がることがあります。
1ヘクトパスカルは、コップに1cm 水を入れたときに、コップの底にかかる圧です。
台風が直撃すると、100ヘクトパスカル気圧が下がります。
平地から、標高1000メートルの山の頂上に、
急に登ったくらいの気圧の変化を感じることになります。
高山病は、標高2500メートル以上登ったときに発症し、
気圧の低下と、酸素不足が原因となって、
頭痛、めまい、むくみ、せき、倦怠感、悪心などの症状をおこします。
気象病は、軽症の高山病とも言えます。
気圧の変化を、耳のセンサーで感じ取ると、
自律神経が、環境の変化に対応するように、からだを調節します。
自律神経が乱れていると、気圧の変化に対応できず、気象病が発症します。
台風が直撃しないで、遠く、太平洋沖を通過したり、
日本に上陸しない台風でも、気象病の症状を訴える方がいます。
遠く3000Kmも離れた台風でも、
0.5ヘクトパスカルと言う非常に弱い気圧の変化をもたらします。
この変化を、感じ取って、気象病を起こしてしまうのです。
気象病の予防には、
自律神経のバランスを、常日頃整える事が大切です。
そのためには、呼吸法が一番効果的です。
月に何回も、メニエール病の発作を起こしていた患者様が、
呼吸法を始めると発作の回数がみるみる減っていきます。
呼吸法は、
ただゆっくり深呼吸をすればいいと思っていませんか?
副交感神経が強い人に効果的な呼吸と、
交感神経が強い人に効果がある呼吸は全く違うんです。
間違うと、かえってバランスの乱れを悪化させることもあります。
暑い夏は、交感神経が有意になりますが、
台風が来ると、副交感神経が強くなり、
自律神経のシーソーが激しく動く時期でもあります。
当院の、自律神経改善プログラムで、
天気に左右されない健康な心身を目指して下さい。
院長
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