2022年10月18日
鼻水がだらだらとのどに落ちる症状でお困りの方が沢山いらっしゃいます。 医学的には、後鼻漏といいます。 実は、正常な成人では1日約1リットルの鼻水がのどにおりているんです。 そんなにおりているかとびっくりされる方もいらっしゃるでしょうが、 鼻は空気中のゴミや、ウィルスなどを鼻水に絡めて取り除き、 肺に入らないようにしているんです。 乾燥から守るためにも、1日1リットルは必要な量です。 鼻が詰まる、鼻水が出るとご自分の鼻に不平ばかり言っていませんか? 鼻は、毎日毎日あなたを外界から守るために一生懸命働いてくれています。 時には、感謝してあげて下さいね。 さて、通常の量より、鼻水が沢山増えると、前の方に鼻水が流れますが、 少し増えると、のどに下りる量が増えて、後鼻漏として感じられるようになります。 いつも痰が絡んでいるような感じがしたり、 咳払いをしたり、 痰を口から出さなければいけなかったり、 むせて、咳が出てしまったり、 夜、鼻水で息が苦しくなって、眠れない、 など様々な症状を、患者様がお話になります。 ご自分の鼻水で、夜寝ているとおぼれそうになると話された方もいらっしゃいました。 後鼻漏の一番の原因は、慢性副鼻腔炎、いわゆる蓄膿症です。 風邪をこじらせると、鼻腔と細い管でつながっている副鼻腔に炎症が起こり、 急性副鼻腔炎となります。 風邪薬を飲んだり、抗生物質を飲むと1週間で鼻の症状は良くなりますが、 まだ副鼻腔には炎症が残っており、ここで治療を中止すると、 慢性化し、副鼻腔から流れ出た粘液がのどに落ちて、後鼻漏となります。 いやな臭いを感じたり、頬や歯に違和感が出ることもあります。 副鼻腔の粘膜が水ぶくれになって、鼻腔に飛び出してくるとポリープになります。 こうなると完治するには手術が必要です。 ポリープが無ければ、内服薬を4~6週間飲むと、ほぼ完治します。 後鼻漏がひどい副鼻腔炎の場合は漢方薬を併用すると、後鼻漏の症状が早く楽になります。 後鼻漏の2番目の原因はアレルギー性鼻炎です。 アレルギーというと、くしゃみ、鼻水がひどい、激しい症状を思い浮かべると思いますが、 鼻が詰まり、鼻水が喉に垂れる静かなアレルギーもあります。 こういう症状の時は、ご自分はアレルギーでは無いと思っている方もいらっしゃいます。 検査をするとアレルギーか、副鼻腔炎か区別することが出来ます。 3番目の原因は、逆流性食道炎です。 夜間寝ている時に胃酸の逆流が起こると、喉仏まで逆流が起こることがあります。 喉仏の粘膜が胃酸でただれると、腫れて、 食道の入り口の筋肉が、ギュッと締まってしまいます。 そうすると、喉仏に鼻から流れてきた鼻水がたまり、 苦しくなります。 1日に1リットルもの鼻水が流れているので、 ご自分の鼻水で溺れてしまいそうとおっしゃる気持もわかります。 胃酸を抑える薬や漢方薬で症状が治まります。 4番目の原因は、いびき症、そして睡眠時無呼吸症候群です。 いびきは、軟口蓋の "のどちんこ" が振動して音が出ることがありますが、 この部分が腫れるとやはり鼻と喉の奥の突き当たりの部分に違和感を感じるようになります。 いびきから更に進んで睡眠時無呼吸がおこると、 逆流性食道炎も起こりやすくなり、症状は悪化します。 いびきは気道が狭いことでおこります。 内視鏡などで、どこが原因か調べて、適切な治療を受けることが大切です。 5番目の原因は、上咽頭炎です。 鼻の奥にアデノイドという、扁桃腺と同じリンパ組織があります。 3歳くらいの時が、一番大きく、大人になると萎縮して無くなることが多いですが、 残ってしまい、ここに細菌の感染があると、 慢性の後鼻漏の原因となります。 上咽頭は、内視鏡を使わないとみることができないので、 診断が、つきにくいですが、 繰り返し処置することと、内服で、改善します。 夜中、後鼻漏のためになかなか眠れなかった患者様も治療を受けると、 ぐっすり眠れるようになったと喜んでいらっしゃいます。 しつこい、症状ですが、あきらめないで一度、是非ご相談下さい。 院長
当クリニックにも「喉に鼻水が落ちてくる」と訴える患者様が多くいらっしゃいます。つねに喉に鼻水がまとわりつく感じ、すごく不快ですよね。 今回は、この後鼻漏についてのお話しです。
後鼻漏ってなに?
後鼻漏の原因は?
逆流性食道炎との関係。
チャンネル登録よろしくお願いします^^
統合メディアカルケアセンター「Tree of Life」のブログもご覧下さい。