朴澤耳鼻咽喉科

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2024年02月10日

誤嚥性肺炎を防ぐため、ご自分の嚥下の問題点を知りましょう。

 

 

 

先日、誤嚥性肺炎のお話をしました。

命に関わる病気ですが、もちろん治療が可能です。
少しむせが気になる程度の時に、治療を始めた方が、早く良くなります。
誤嚥性肺炎を頻回に繰り返すようになると、なかなか治療も難しくなってしまいます。

 

どのような治療が必要になるか知るためには、嚥下のメカニズムを理解して、
ご自分の嚥下のどこが良くないかを知る必要があります。

 

 

毎日、食事の時、余り気にしてはいないと思いますが、
嚥下は実はとても複雑な仕組みで成り立っています。

 

3つの部分に分けると、わかりやすくなります。
まず食物を口に入れて、よく噛んで粉々にし、
唾液と混ぜて固まりを作り、喉にごくんと飲み込むまでの口腔期。
口から送り込まれた食物を食道に送り込む咽頭期。
そして、食道から、食物が胃に届くまでの食道期です。

 

 

口腔期で問題が起こると、食物を喉に送り込む力が弱くなります。
よだれが垂れたり、食べこぼしが多くなります。
ろれつが回らないときは、舌の筋肉の麻痺が起こっている可能性があり、
神経内科の先生に相談する必要があります。

 

虫歯や歯槽膿漏があると、細菌が口の中で繁殖しています。
これを誤飲すると、肺炎がひどくなります。
むせがあるときは、歯科で、虫歯の治療や、歯槽膿漏のケア、
歯石を取るなど口腔ケアをする事が大切です。

 

食事を喉に送り込む力、えん下圧を高める嚥下体操があります。
えん下圧が高くなると口腔期の問題は解決します。
食事の温度が体温より低いと、えん下圧を高める事ができ、飲み込みやすくなります。

 

 

のどでは、食物が気管に入らずに、
ちゃんと食道に入るよう、交通整理をしています。
咽頭期に問題があると、気管に食物が入ってしまい、
むせや咳、発熱、誤嚥性肺炎を起こします。

 

咽頭期の問題は、耳鼻咽喉科の専門です。
耳鼻科の先生に相談しましょう。
診察の結果では、手術をすることで、
嚥下がとてもスムースになる事もあります。
むせがあるときは、やはり歯科で口腔ケアをする事も大切です。

 

咽頭期の問題を解決する嚥下体操もあります。
ゴクンと飲み込むとき、喉仏が上下に動きますが、
この動きが誤嚥を防いでいます。
喉仏を上げる筋肉が弱ると、むせが多くなります。
シャキアー法という、喉仏を上に上げる筋肉を強化する体操があります。
横になり、ご自分の足の親指が見えるよう、頭を上げた姿勢を保つ体操です。
やってみると結構大変ですが、この体操をしたことで、
誤嚥の発症が抑えられたことが報告されています。

 

食道の入り口は左右2つありますが、
人によって食物の通り易さが左右で違うことがあります。
右を向いてゴクン、左を向いてゴクンと飲み込んでみましょう。
どちらか飲み込みやすい方があれば、
横向き嚥下を行うのも、誤嚥を防ぐ方法です。
食事中、テレビを見るのに、首をひねってご飯を食べていませんか?
その方向が、食物の通りが悪い側の時、むせが起こりやすくなります。
食事中はテレビを消して、食事に集中しましょう。

 

 

食事中はむせないのに、
食事の後半から食後にむせがでるときは、食道の問題です。
夜中、寝ているときに咳込んだり、
胸焼け、呑酸など逆流性食道炎の症状がでることもあります。
消化器内科で相談しましょう。
食事中〜食後3時間は、上体を30度くらいの角度で上げると、
喉がお腹より高くなり、食物の逆流、むせを防ぐ事ができます。

 

以上のように、むせにも様々な原因があり、
相談するべき診療科も異なり、対策も異なります。
ご自分のむせの様子を良く知って、正しい治療を行ってください。
次回は、具体的な嚥下体操の仕方をお知らせします。

 

院長

 

 

 

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